くるみ整体のブログ「痛みを言葉にするのは難しい」

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痛みを言葉にするのは難しい

2020/11/21

整体院あるある。言語化における困難。

痛みを言葉にするのは難しい

自分の症状を伝えにくい。身体の仕組みと施術の方法を説明しづらい。

日本語は痛みを表す表現が少ないという話から

整体院あるある。痛みの種類と強さが本当には伝わらない。

 

当店では初めての方はもちろん、2回目以降の方も施術の前には「今からどういう問題を解決して欲しいのか」を確認して始めます。大体その時痛い場所とその経緯や程度を伺います。そんな時にしばしば起こるのが、「痛みの種類と強さが伝わりきらない」ということです。

 

考えてみれば当たり前のことで、他人の「感覚」がそのまま分かるわけがないのです。

それでも、

・痛い場所(肩全体、首の付け根、腰の下の方、肩関節の奥の方、等)、・

・条件・タイミング(ずっと痛いのか、動いた時に痛いのか、重いものを持った時に痛いのか、夕方になってくると痛いのか、等)、

・強度(歩けないほど、眠れないほど、意識しなくても痛い、気にするとわかる程度、等)、

などを伺って施術をスタートするのですが、一番難儀なのは「どんなふうに痛むのか」です。

 

先日ペインクリニックの先生の書いた一般向けの本を読みました。その中に、マクギルの疼痛質問表(McGill Pain Questionnaire)というものの存在が書かれていました。22種類の言葉で表現される痛みそれぞれに10段階で印をつけていく質問表です。一例を挙げますと、1.ずきんずきんする痛み、6.かじられるような痛み、11.割れるような痛み、14.恐ろしい(痛み)、19.軽く触れるだけで生じる痛み、等です。

その本によると、マクギルの疼痛質問表における痛みの表現は最近では使われないような古い英語の形容詞表現も使われていたこともあり日本語に訳すのが非常に難解であったと。何より日本語には痛みを表現し分ける複数の言語、形容詞等が少ないと。

 

日本人だって痛いものは痛いのに不思議です。痛みを表現しないで我慢してたんでしょうか?

 

この状況は整体師の私的には嬉しくないのですが、それでも日々の仕事はそれなりにできています。おそらくですが、実際にクライアントさんのお身体の痛む場所を自分の手で押す/揉む/動かすということをすると、主にしこりや硬い部分の触った感触や反応によってその程度が分かるからやれているのだと思います。それでも、痛みそのものの種類や強さそのものが分かっているわけではありません。痛みの度合いについては、係数部分、すなわち前回までの同じクライアントさんのお身体や、他の方のお身体も含めて比較しての5段階中の3だとか4だとかいうことを知ることができるに過ぎません。種類についても、例えば「これは先週きたOOさんの肩こりとよく似ているな」とか「いつも運動して鍛えてらっしゃるXXさんの筋肉の張り方に似てるな」ということに止まります。

 

過ぎません、止まります…なんて言っても、それが大分助けになることは間違いありません。

実際に手を使って触れることができるというのはクライアントさんのお身体の状態を知るには大変な助けになります。

 

ひょっとすると、日本語の語彙に痛みの種類が少ないのは古来より按摩や指圧等の徒手療法が盛んだったために言語で伝える必要性が低かったから???などと思ってしまいました。暴論ですね。いつかマッサージが盛んな国の痛みの表現とか、中世における医学の進歩度と痛みを表現する言語の豊富さの関連を調べてみたいです。でもどうやって調べるんでしょうねえ?そこも含めて知りたいことがたくさんです。